新嘗祭とは毎年11月23日に全国の神社で執り行われる秋の収穫を祝うお祭りだ。その年の収穫を神様に感謝し、来年の豊穣を願うために様々な神事が催される。
農作に関わる全ての人達に感謝を捧げる日でもあるので、今では勤労感謝の日とされている。
少し前に1つ目の神事である稲刈りの儀が始まった。神職が稲を刈って神前に奉納する神事だ。実際に田んぼに赴いて刈る訳ではなく、あらかじめ適当な長さで用意された稲に鎌を通すだけらしい。
そんな感じで本殿では農作に感謝し祈りを捧げる神事が絶えず執り行われている。
社頭は祭り好きな妖たちによって様々な屋台が設けられている。新嘗祭なだけあって食べ物に関する屋台が多い。
飯は勝手に食ってこい、と鬼三郎さんからお小遣いを貰っていたので休憩時間に肉巻きおにぎりを買いに行くつもりだ。
神事の進行は神職さまたちで行うので、私たちは神事の間社頭でトラブルが起きていないかを見て回ることになっている。
一時間の見回りを終えて慶賀くんと社務所に戻ると、待機組のみんなが「お疲れ〜」と迎えてくれた。
「二人ともお疲れ様。何かあった?」
「なーんもない。里の人達はみんな神事に参加してるし、超平和」
「あ、でも神事に参加してない子供たちが遊び回ってるから、危ないことしないように定期的に声掛けた方がいいかも」
「パトロール中」と書かれた腕章を外して次の当番の二人に渡す。



