「巫女舞があると一気にちゃんとした神事感が増すねぇ」
「だね。じゃあ巫女舞は巫寿にお願いするとして、もう一人、あの子にもお願いしたらいいんじゃない?」
あの子?と首を傾げたみんな。すかさず鬼市くんが「鬼子か」と呟き、心の中で「うっ……」と声を上げる。
もちろん鬼子ちゃんが巫女舞を奉納すること自体は悪くない。むしろ鬼市くんと同じ里に暮らす鬼子ちゃんは適任すぎるくらいだ。
ただ私と二人で奉納するということに問題が、いや大問題がある。鬼子ちゃんは私のことを尽く嫌っていて、少し前に喧嘩のような雰囲気になったばかりだ。
二人仲良く並んで演舞できるか、今から不安しかない。
「鬼子は里の神事で何度か演舞しているし、問題なくやれると思う。巫寿、二人で頼めるか」
真剣な目でそう頼まれると頷く事しかできない。
もちろんだよと答えた声が若干上擦って「風邪か?」と心配されてしまった。
「ほな音源も用意しとかなあかんな。鬼子と話し合って、奉納する舞が決まったら教えて。CD用意しとくわ」
「あ、それなんだけど」
もう一度手を挙げて続けようとしたその時、ザッと砂利を踏みしめる音がしてみんなが顔を向ける。
「……お前ら、休講は自由時間じゃないんだぞ。そんなことも分からないのか」
腕を組んで立つ恵衣くんが呆れた顔で私たちを睨んだ。



