その後二度ほど「静かにしなさい!」と文殿の神職さまに注意を受けた私たちは「次は罰則を与えますよ」と睨まれて慌てて屋外演習場横の休憩スペースへ移動した。
みんなそれぞれにラインナップが微妙すぎる自動販売機でパックジュースを購入してベンチに座る。
「まずは祈願祭の構成を考えなきゃね。通例通りだと修祓、献饌の儀、祝詞奏上、玉串奉奠って感じかな」
嘉正くんが拾った枯れ枝で神事の流れ地面に書き出す。どの祈願祭をするにしても外しては行けない要素だ。
「斎主は鬼市がするよね? じゃあ修祓は問題ないか。祝詞奏上も任せるとして、祝詞の作成は来光にアドバイスを貰うといいよ」
指名された来光くんは「任せてよ」と鼻を高くして胸を叩く。
究極祝詞研究会、通称ノリケンに所属する来光くんは普段から沢山の祝詞を作成している。私たちよりも断然祝詞作成が上手いので適任だろう。
「あ、じゃあ祝詞奏上のあとに槍術の形でも奉納しようか?」
そう提案したのは泰紀くんだ。名案じゃん!と来光くんが指を鳴らす。
泰紀くんは槍術部、一年の時も二学期の奉納祭で槍術の形を披露していた。
だったら、と恐る恐る手を上げるとみんなの視線が集まる。
「よかったら私も、巫女舞を奉納するよ」
たちまち瞳を輝かせて「めちゃくちゃいい!」と声を揃えたみんなにホッと息を吐く。



