「……おい巫寿! 巫寿ってば!」
強く肩を叩かれて我に返った。隣に座っていた泰紀くんが少し慌てた顔をしている。
ハッと顔を上げるとみんなの視線が私に向けられている。組討演習の授業中だったことを思い出した。
「当てられてるぞ、巫寿……!」
「あ、え……あの、聞いていませんでした」
身を小さくしてそう頭を下げる。飛扇先生は「集中しなさい」と呆れた顔をうかべる。すみません、といっそう小さくなる。
「聞いていなかったところは後でクラスメイトに教えてもらいなさい。次の授業の始めに同じ質問をするからな」
はい、と私が答えると同時に飛扇先生は授業を終わらせた。
疲れたー、と伸びをするみんながゾロゾロと更衣室へ歩き出す。
「巫寿が授業中にボーッとしてるなんて珍しいね。昨日は遅かったの?」
不思議そうな顔をした嘉正くんが歩み寄ってくる。
「巫寿ちゃん、なんか顔色悪くない? 大丈夫?」
隣から総顔を覗き込んできた来光くんが不安そうな表情を浮かべる。
なになに巫寿体調悪いの?大丈夫か?とみんながゾロゾロ私を囲み始める。
「あ、あの……」
その時、校舎からわぁッと楽しそうに声を上げながら初等部の子供たちが運動場へ飛び出してきた。2時間目が終わったところだから、初等部は20分休みに入ったらしい。
子供たちに遊びに誘われたのか先生や神職さまたちもゾロゾロと外に出てくる。



