私や父さん達の友達だ、禄輪さんからそう紹介された神職さまたちはとてもいい人たちだった。
お父さんやお母さんがこの人たちからとても大切にされ可愛がられていたことがよく分かる。両親のことを話す時の顔が皆とてと優しかった。
一日の奉仕が終わると流れるように宴会が始まった。私のために両親との思い出を沢山語ってくれて、私の知らない学生時代の二人の話はとても新鮮だった。
それ以上に私との再会を喜んでいた。何か話し終わる度に「それにしてもこんなに大きくなって」と禄輪さんに似た大きな手で私の頭を撫でる。
私は幼い頃に神職さま達と会ったことがあるらしい。小さい頃に会っていたとはいえ、覚えていないのが申し訳なかった。
22時を過ぎた頃に禄輪さんから部屋へ戻るよう促された。
"立派に後見人やってんじゃねぇか!"と禄輪さんがからかわれて顔を真っ赤にしていたので、大人しく部屋に戻ることにした。
楽しかった余韻に浸りながら借りている寮へ向かって社頭を歩いていると、鳥居をくぐって中へ入ってくる人影が二つあることに気付いた。
この時間は妖たちのための社が開いている。人が通れる本殿前の鳥居は、神職の許しがない限り普通の人は通って入れない。仕組みはよく分からないけれど、社をめざして歩いても鳥居の前にすら辿り着けないらしい。
妖たちは幽世と繋がる本殿裏のもうひとつの鳥居から入ってくる。つまりこの時間に前の鳥居入ってくる人は、社の関係者だ。