無事に皆へのお土産も入手して八瀬童子の里に着いた私達。社の社務所に顔を出すなり、慶賀くんはあっという間に子どもたちに囲まれた。
我先にとよじ登ってくる子供達に「危ねぇだろ!」と叱りながらもちゃんと相手をする慶賀くんに頬を緩める。なんだかんだ言って慶賀くんも面倒見がよく、小さい子供たちに好かれる性格をしている。
「悪ぃ巫寿、こいつらの相手してるから帰る時にメッセ送って」
「了解。私は社務所か療養所にいると思うから」
「社務所か療養所な! ……ってこら、髪を引っ張るな! 禿げるだろうが!」
テンションが上がった子供たちに引っ張られ社務所を出ていった。
「すみません、お忙しいところ来ていただいて」
奥から忙しそうに出てきた禰宜がそう拝む。
「あ、いえ。丁度休講になったので」
「そうでしたか。実は教えて頂いた祝詞の発音のことでお伺いしたいことがあって────」
とりあえず会議室へ、と社務所の奥に通された。



