「俺ら二人で出かけるのって何だかんだで初めてじゃね?」
「確かにそうだね。いつもみんな一緒だし」
鞍馬の神修の事務室で借りた迎門の面を深く被り直しながら、私たちは並んで鬼脈を歩いた。
鬼市くんの心配とはよそに、鬼脈はいつも通りの賑わいを見せている。
「皆から頼まれた土産、帰りじゃ間に合わねぇかもしんねぇし先に買ってかね?」
「あ、そうだね。そうしよっか」
まずは来光のおはぎからだなー、と皆からのお土産リクエストメモを確認しながらサクサクと行き先を決めていく。
こっちだな、と歩き出した慶賀くんの隣に並ぶ。
「巫寿、後」
突然手を引かれて数歩よろめくと、屋台を引いたのっぺらぼうが「悪いね嬢ちゃん!」と後ろを走っていく。
「あ、ありがとう」
「おう。気をつけろよ」
皆といるとお調子者キャラが目立つけれど、なんだか今日は頼もしい。
「慶賀くんって意外としっかり者なんだね」
「おい、意外とってなんだよ!」
むっと唇を突き出した慶賀くんに慌てて「"意外と"はなし!」と訂正を入れる。
今更遅せぇよ、とちょっと呆れた様子で笑った慶賀くんに肩を竦めた。



