「────仕方ないから俺が、」
「あ、だったら俺付き合おっか?」
恵衣くんの言葉を遮って、そう手を挙げたのは慶賀くんだった。
「どうせ暇だし、俺も里の子供らともまた遊ぶ約束してっから全然付き合うぜ」
「ああ慶賀、助かる。"お前になら"任せられる」
笑みを浮かべて慶賀くんの肩を叩いた鬼市くんは、半分腰を浮かせた恵衣くんにその笑顔を向けた。
「どうした、恵衣?」
その瞬間、間違いなく何かがブチッとちぎれるような音がした。思わずゴクリと唾を飲む。
恵衣くんの周りだけが吹雪いているように見えるのは私だけだろうか。
いつもよりも3倍増しの不機嫌オーラを放つ恵衣くんは眉を釣りあげて鬼市くんを睨むと大股で教室を出ていってしまった。



