その日は私が予想していたよりも早く来た。
富宇先生に"お願い"をしてから二日後の放課後。ちょうど緊急で職員会議が入って短縮授業となった日に連絡があり、鞍馬の神修の鳥居前で待ち合わせることになった。
「巫寿ちゃん……!」
放課後、荷物だけ置いて制服姿のまま鳥居のそばで待っていると遠くから女性が歩いてきた。私を見つけると大きく手を振りながら駆け寄ってくる。
小さく会釈をすると、女性は目の皺を一層深くして微笑んだ。
「巫寿ちゃん、こんにちは。この間はいきなり学校に押しかけてごめんなさい」
「い、いえ」
「連絡先も教えてくれてどうもありがとう。もちろん主人や和来には教えてないから安心して」
そう言ったおばあちゃんにぎこちなく頷き微笑み返した。
あの時、富宇先生には私の連絡先をおばあちゃんに伝えてもらうようにお願いをした。そしてアルバムを受け取りたい旨も伝えてもらうと、直ぐにおばあちゃんから連絡があり今に至る。
「何が食べたい? 門限もあるだろうし、近くのお茶屋さんに入りましょうか」
はい、と頷きおばあちゃんと並んで歩き出した。



