パソコンの前に座って画面をのぞき込むと「ああ、巫寿さん!」とちょっと困った様子の富宇先生が画面に顔を寄せる。画面いっぱいに鼻が映って「先生近いです」と苦笑いを浮かべる。


『ごめんなさいね、休憩中に』

「いえ、どうかしましたか?」

『それがね、あなたのおばあさんを名乗る方が、いまこっちの神修にいらしてるの』


おばあさん……? ってまさか!

脳裏に先日初めて会ったばかりの祖母の顔が浮かぶ。


『面会の約束はしてないみたいだし巫寿さんの連絡先も知らないようで、今が異文化理解学習の最中で鞍馬の神修にいる事も知らないみたいだったからちょっとおかしいと思って。だから一旦巫寿さんに確認したかったんだけれど……』


お兄ちゃんとおじいちゃんが揉めている時に、私を巻き込むみたいな発言をしていたけれど、まさか神修まで直接訪ねてくるとは思っていなかった。

でも訪ねてくるならおばあちゃんではなく、おじいちゃんか和来おじさんだと思っていたんだけれど。


「えっと……亡くなった両親が祖父母から絶縁されてて、私達も折り合いが悪くて」


富宇先生が額を押さえて息を吐く。


『そういう事だったのね、分かったわ。とりあえず今日はどの道会えないし、帰ってもらうわね』

「すみません」

『気にしないで。それで、おばあさんから色々預かったものがあるんだけれど、どうしましょうか?』