「鞍馬の神修って迎門の面の貸し出ししてるんですか!?」
「おう。学生なら誰でも自由に使っていいんだってよ」
「先に教えてくださいよぉ!」
不貞腐れた盛福ちゃんをまぁまぁと宥めながらお茶を啜る。
するとパソコンの前で富宇先生と話していた聖仁さんがこちらへ歩いてきた。ダンナが来ますよダンナが、と茶化す盛福ちゃんに照れ隠しでプロレス技を決める瑞祥さん。
「こら瑞祥、後輩いじめないの」
「い、いじめてねーし! むしろ盛福が私の事いじめるんだよ!」
「いじめてませーん。いじってるだけでーす」
この、と腕の力を強める瑞祥さんにきゃあっと楽しげな声を上げる。
呆れたような、どこか愛おしそうな目で瑞祥さんを見つめる聖仁さん。晴れてお付き合いに発展し我慢する必要がなくなった聖仁さんは、色んなことを隠さなくなった。
私も応援していた身なので喜ばしいことなのだけれど、見つめる視線が情熱的すぎてたまに目のやり場に困る。
「あ、そうそう。瑞祥が可愛くて大事なこと忘れてた」
私に向き直った聖仁さんに苦笑いを零す。
もう何も言えない。
「富宇先生が巫寿ちゃんのこと呼んでるよ」
「富宇先生がですか?」
舞の注意はさっき一通り受けたばかりだけれど、まだ何かあったんだろうか。
何だろう、と不思議に思いつつ聖仁さんにお礼を伝えて立ち上がった。



