文鬼先生と雑談しながら子供たちの遊び相手をしているとあっという間に時間が過ぎた。子供達のお昼寝の時間に合わせて私たちもお暇することになった。

また遊びに来るとええわ、と送り出してくれた文鬼先生に頭を下げて庇角院を後にする。


「案内は以上です。私はこれから用があるので、これで失礼します」


文鬼先生の姿が見えなくなるとスッと真顔に戻った鬼子ちゃん。

では、と私の言葉を聞くよりも先に社へ向かって歩き出す。


「ま、待って……! 私も一緒に戻る!」


慌てて隣に並ぶと、まるで黒光りするあの虫を見るような目で私を見た。


「隣に並ばないでください。貴女と友達だなんて思われたくないので」


あまりに酷い言われように、流石の私もカチンときた。

私だって自分自身のことを皆から好かれるような人間だとは思っていないし、誰かから嫌われること自体も仕方がないと思う。

私だってこんなに嫌ってくる鬼子ちゃんに好感は抱いていないし、むしろ苦手意識を抱いている。けれどそれを理由に鬼子ちゃんを傷付ける言葉を投げつけようとは思わない。


「私のことが嫌いなのは構わないけれど、それを理由に嫌な言い方をするのは止めて」


声に呪がこもらないように深呼吸しながらそう伝える。

はァ?と眉を釣りあげた鬼子ちゃんが振り返った。