いただきます、と手を合わせて厚焼き玉子に箸を伸ばす。
「皆は今日どうするの?」
「帰るまで時間があるから、昨日気になったところを色々見て回るつもりだよ」
なるほど、昨日私が不在の間に皆は里の中を見て回ったらしい。
「巫寿は今日見て回るといい」
「わ、いいの? 嬉しい」
「俺はお頭に呼ばれてるから案内できないんだが、鬼子に頼んであるから」
「鬼子ちゃん……」
楽しみは一気に不安に塗り変わる。
どうかしたか?と尋ねられ力なく首を振る。
不安だけれどいい機会かもしれない。いつも喋りかける前に立ち去ってしまうから、今日こそちゃんと鬼子ちゃんと話すんだ。



