私の手を離したお兄ちゃんは大股で和来おじさんの前に歩み寄ると、ポケットから名刺ケースを取り出し中の一枚を勢いよく叩き付ける。
「妹思いは父親譲りか」
「黙れ」
部屋にいる全員を睨みつけたお兄ちゃん。
「ちょっとでも巫寿を泣かしてみろ、ちょっとでも。お前ら全員、健康な体で天寿を全う出来ないようにしてやるからな」
和来おじさんが青い顔でひとつ頷く。
間違いなく脅し文句なはずなのに、お兄ちゃんが言うと宣言に聞こえる。
私の手を取ったお兄ちゃんがずんずんと歩き出す。
そして私たちはうずめの社を後にした。



