「単刀直入に言う。祝寿に会わせてくれへんやろか」
またお兄ちゃんの名前が上がった。
どうして和来おじさんやおじいちゃんはお兄ちゃんばかり気にするんだろうか。
「あの、お兄ちゃんに会いたい理由を聞いてもいいですか?」
和来おじさんは苦い顔で俯くように頷いた。
「……椎名家の一族は創建時から代々うずめの社の倭舞を伝えてきた。親父も受け継いで、もちろん俺も親父から教わっている」
創建時から、つまり数百年と椎名家がうずめの社に伝わる倭舞を後世に伝えてきたということだ。
途方もない年月に驚きが隠せない。
お母さんってそんなに歴史ある名家のお嬢様だったんだ……。
「ただ俺が稽古中に腰を怪我してしもて、俺が舞を受け継いで伝えていくことが出来んくなった。嫁はおるけど子供はおらんし、親父が孫に引き継ぐんも無理や」
え、と目を見開いた。
「け、怪我って大丈夫なんですか?」
目を丸くした和来おじさんは、先程とは打って変わって柔らかい表情でひとつ頷いた。懐かしいものを見つけたような表情で私を見下ろす。
「日常生活には問題あらへん。ただ激しい運動ができんだけや」
和来おじさんはそう言うけれど、激しい運動が出来ないのは倭舞を舞う神職にとっては死活問題だろう。



