「何なんだあいつらは。巫寿の祖父母と叔父なんだろう。なのにあの態度は一体どういうつもりだ?」
「あー……その、私ずっと親戚とは疎遠だったの」
「それにしたって礼儀がなってない」
夕飯は十八時だから、それまでは社頭を見て回ったりゆっくりしてね。
おばあちゃんにそう言われて私と鬼市くんはうずめの社の庭園を歩いていた。ぎゅっと眉間に皺を寄せて怒りを顕にする鬼市くんのおかげで、私はかなり落ち着いていられる。
鬼市くんがついてきてくれていなかったら今頃泣きべそをかきながら帰路に着いていたことだろう。
「ありがとう、鬼市くん。一緒にいてくれたから心強かった」
途端、鬼市くんは眉間の皺をといてふっと目を細める。僅かに口角を上げて私に微笑んだ。
「巫寿の役に立てたならそれでいい。俺がしたくてしたことだ、礼はいい」
「いやいや、今度ちゃんとお礼させて」
「そこまで言うなら、楽しみにしてる」
柔らかい表情でひとつ頷いた鬼市くんにほっと息を着いた。
それにしても、と庭を見渡す。
「お母さんの実家がうずめの社だったのは驚きだなぁ……」
「俺も教科書で見たことはある。御祭神は芸能の神だったか」
うずめの社は芸事にご利益のある御祭神を祀っていて、巫女舞や倭舞を極める神職なら死ぬまでに一度は参りたいと思うお社だ。



