【親戚のおじさんと偶然会って、どうしても来てほしいとお家に招かれたので行ってきます。急に抜け出してごめんね】

グループトークにそう送れば直ぐにみんなの既読が付いた。まだ待ち合わせ時間ではなかったので、大騒ぎにはなっていないようで安心した。

了解、いってらしっしゃい、と次々にスタンプが送られてくる。

【あまりにも不審な人物だったから、俺も巫寿について行った。里の場所は信乃と瓏が知ってるから、案内は二人に任せる】

続けざまに鬼市くんが送ったメッセージによってグループトークは一気に荒れ始める。「どういうこと!?」「大丈夫なのか!?」と次々とポコポコ届くメッセージにあわあわしながら返信した。


「鬼市くん! 不審な人物って!」


悪びれた様子もなく隣に座っている鬼市くんは、出された玉露をズズッとすする。


「どう見ても不審者だったろ」

「それは……そうだけど……」


とにかく本当に無事なので心配しないで、とみんなに向けて送信する。キリがないので一旦そこで電源を落とそうとボタンに指をかける。

ふと、念の為あともう一人にもメッセージを送っておこうとトークルームを立ち上げた。


母の弟と名乗る叔父さんに連れられてやってきたのはとても大きなお社だった。

お社の歴史を学ぶ社史(しゃし)の教科書に乗っていた。本殿や神楽殿が大きく荘厳なのに対し鳥居が非常に質素な印象を受けたので、よく覚えている。芸能の神を祀る、うずめの社だ。