「時代遅れ、時代錯誤」
「不便、古臭い」
「いいところ、だよ」
三者三様の回答だ。いい回答をしたのが瓏くんしかいないのが若干気になる。
「まぁ仕方ないよ、妖って長寿だし。うちのおばあちゃんも新しい物にはアレルギーがあるから、未だに固定電話が黒電話だし」
肩を竦めた嘉正くんに「わかるわかる」と頷く。
実家のご近所さんである玉じぃも新しい物が嫌いで、消耗品であっても昔から使っているメーカーのものしか購入しない。洗面所で粉の歯磨き粉を見つけた時は衝撃を受けたっけ。
妖の命は人間よりもはるかに長い。この瓏くんですら確か江戸時代生まれだ。幽世が全体的に古臭くなってしまうのも無理はない。
逆に同い年である現代っ子の鬼市くんや信乃くんはそれが我慢ならないみたいだけれど。
「あ、鬼脈で買いもんしてええか?」
「だったら僕もお札用の紙買い足したい」
「俺腹減った~」
「じゃあ買いもんした後、適当に茶屋でもはいるか」
賛成!と皆の声が揃い、そして私達は鬼門を潜り抜けた。



