一学期に鞍馬の神修の皆が私たちの神修へ来た時、部活動に入っている学生は一緒に稽古したり練習試合を設けて交流を深めた。
今回も同じように鞍馬の神修の各部活動は、練習に私達を受け入れてくれることになっている。私や聖仁さん、盛福ちゃんは鞍馬の神修の神楽部に参加することになった。
神楽部に参加するということはつまり。
「何であなたがいるんですか」
入るなり、というか半歩入った瞬間私の前に立ち塞がったのは長い黒髪が綺麗な切れ長の目の美人な女の子。
「お、お久しぶりです……鬼子ちゃん」
あまりの迫力に思わず敬語になる。
中等部三年の鬼子ちゃんは鬼市くんと同じ八瀬童子一族の鬼の妖だ。
「まさかあなた、鬼市さんを誑かすためにここまで来たんですか?」
「ち、違うよ! 異文化理解学習だから!」
「どうだか」
はん、と鼻を鳴らした鬼子ちゃんは鋭い眼光を私に向けると黒髪を靡かせて友達の所へ歩いていった。
胸に手を当てて「はぁー」とひとつ深い息を吐く。
初めて会った一学期から、鬼子ちゃんは私を目の敵にしている。
「相変わらずキョーレツだな、あの鬼っ娘」
はぇー、と目を丸くした瑞祥さんが私の隣に並ぶ。
「婚約者を横取りされたんだから、そりゃ目の敵にするよねぇ」
盛福ちゃんがその隣に並んでそう続けたので目を剥いて反論する。



