嘉正くんの回答とはかけ離れた回答に皆は目を瞬かせた。


「ん、その答えも満点だ」


え?と首を傾げる。

武力行使して止める? 原因がなにかも分かっていないのにそんなことが出来るんだろうか?


「そもそも、幽世と現世では問題への向き合い方が違う。現世での妖は様々な場所に住処をつくり、社も全国各地に点在している。だから問題が発生した場合、まずは本庁にそれが集約される。しかし幽世では妖たちは同族と里を築き、さらにひとつの一族にひとつの社がある。だから問題が起きた場合もすぐに神職の耳に届く。幽世の神職に求められるのは問題を"解決"するのではなく、"止める"ことなんだ」


なるほどなぁ、と深く頷いた。

確かに、私達に任務が割り振られるのは基本問題が発生したあとだ。そこから調査したり祓除して、解決することを求められる。

しかし妖たちと社の距離が近いのならば、問題が発生した時にすぐに駆けつけて問題を止める事だって可能というわけだ。

現世と幽世とじゃそんな違いがあるのか。すごく興味深い。異文化理解学習がなければ知らなかったであろう知識だ。


「この授業では様々な緊急性の高い問題発生時の対処方法を勉強していく。今日は初日だし、軽めに"妖同士が妖力を使って喧嘩を始めた時"の対処方法を学ぼうか」


……ちょっと待って。それは"軽め"なの?

まずは手本を、ということで鬼市くんが指名された。