「あ」


私と目が合って、飛扇先生は小さく声を漏らした。


「君は禄輪のところの……」

「お、お久しぶりです」


なになに知り合い?とみんなが興味津々に聞いてくるので肩を竦めながら小さく頷いた。

飛扇先生とは夏休みにほだかの社でアルバイトをしていた時に会ったことがある。禄輪さんによびだされて夏祭りを手伝いに来ていた人の一人だ。

小さく微笑んだ飛扇先生はこほんと咳払いをして騒ぐ皆を鎮めた。


「時間も限られてるし、早速授業始めていくぞ」


はーい、とみんなの声が揃う。


「そっちの神修では行われていない科目だから、まずは授業の概要から説明しようか。じゃあ、神修の皆に質問。妖が問題を起こした場合、どうする?」


簡単な質問にみんながシュバッと手を挙げた。元気がいいな、と笑った飛扇先生は嘉正くんを指名する。


「はい。まず原因を調査して、妖自身が起こした怪異なのか呪いや残穢の類なのかを判別します。呪いや残穢の場合は直ちに祓除をおこない、妖が引き起こした怪異の場合は神役諸法度に則り確保や祓除を試みます」

「ん、満点の回答だな」


嬉しそうにはにかんだ嘉正くん。

心の中で思い浮かべていた回答とほとんど同じだった。


「よし、じゃあ信乃。お前ならどうする? 答えてみろ」

「ほいほい。どうするかなんて、んなもん一択や。武力行使して止める」