「こっち側へようこそ嘉正」
「待ってたぜ嘉正」
泰紀くんと慶賀くんが、両サイドから嘉正くんの肩に手を乗せた。振り払う元気もないらしい。
1年生の頃は専門科目で苦戦していた私だけれど、二年生で一般科目に苦しめられるとは。
トホホと頬を掻きながら教科書をパラパラめくった。
「唯一の救いは専門科目の内容がほぼ一緒なことだね」
「授業の進み具合もほぼ同じで助かるよ」
姉妹校なだけあってカリキュラム自体はほぼ同じらしい。神職になるための授業が行われる専門科目の内容は、私たちの神修とそこまで大差はないようだ。
ただ────。
「この"組討演習"ってなんだ? なんか物騒な名前だな」
「僕らの授業にはないやつだね」
配られた時間割はどの科目もバランスよく配置されているのに、その組討演習という科目だけ週に四コマもある。
一体どんな授業なんだろう。
「お、それなら明日の一時間目に早速あるから、楽しみにしとるとええわ」
ニヤリと笑った信乃くんに皆は強ばった顔で目を合わせる。
「俺は一番好きな科目」
鬼市くんから全然参考にならない説明を受けて私たちは一層困惑する。
嫌な予感しかしないのだけれど、大丈夫なんだろうか。



