『巫寿?』


鬼市くんに名前を呼ばれてハッと顔を上げる。不思議そうに私を見る皆と目が合った。慌てて首を振って「なんでもない」と答える。

画面の奥でゴーン、と鐘が鳴り響く。同じタイミングでこちらの鐘もなった。


『お、晩飯か。まぁこっちでも聞いとくわ、ほままたな』

「おー、よろしく! またな〜」


通話終了の画面になってみんなはゾロゾロと立ち上がる。俺達も飯行くか〜とひとつ伸びをして立ち上がった。


『ここまで色々起きてるんだよ、あの鉄壁の結界が守る神修の中で。そりゃもう疑うしかないでしょ────裏切り者』


薫先生の言葉がもし本当なんだとして。それが"言えない事情"なんだとしたら。