芽衣は少しだけ悩んだように視線を動かし、自分が丸めた栗を見てぱっと顔を上げた。
「お父さんにあげたい!」
「……そっか、そうだね。芽衣もお手伝いしてくれたもんね」
「ふふ。気持ちが大事なのよね、こういうのは」
美咲が小さく首を縦に動かして、芽衣を見る。恵子はにこにこと笑う彼女たちを見て、ほんわかと胸の中が温かくなる。
(――おいしいまんじゅう作らないとね)
ふたりの会話を聞きながら、恵子は小麦粉を足してお湯を注いだ。
「こんなにたくさん使うの?」
「皮は余ったらだんずにするからねぇ」
「だんずってなぁに?」
「小麦粉の餅さね。砂糖醤油で食べるとうんまいんだよ」
「芽衣はマヨ醤油のほうが良いかも?」
「どっちもおいしそう! 食べてみたい!」
ちょうど良い柔らかさになった皮を手のひらに乗せて、くぼみを作り丸めた栗を押し込んで包んでいく。
「わ、けーこばぁば素早い!」
「慣れさね、慣れ。美咲ちゃんも慣れっとできるようになるべ」
「そうかなぁ……」
美咲と芽衣は苦戦しているようだ。そのあいだに恵子は次々とまんじゅうを丸めていく。
丸める前に大きな鍋にたっぷりの水を入れて火にかけていた。丸めたまんじゅうを茹でれば完成だ。
……そして、やはり皮は余った。だんずも作るつもりだったのでちょうど良い。
平べったい丸型に成形していくと、芽衣が「これがだんず?」と聞いてきた。
こくりと恵子がうなずくと、「……おいしいの……?」と怪訝そうに唇を尖らせる。
「好みだからねぇ、これも。まぁ、小麦が好きな人は美味しいんじゃないかねぇ?」
「とか言いながら、パクパク食べる芽衣の姿が想像できるわー」
まんじゅうの皮に火が通るまで茹で、大皿に乗せていく。出来立ては熱いので注意が必要だ。だんずも一緒に茹でてもらい、冷ます。
「もう食べられるの?」
「熱いから気をつけんと」
ちなみにまんじゅうもだんずも冷凍できるので、冷凍庫に余裕があるときが良い。五キロの小麦をすべて使い切るので、かなりの量になるからだ。
手で持てるくらいまで冷まし、味見分の栗まんじゅうとだんずを食卓に並べる。
砂糖醤油とマヨ醤油も用意した。
「とりあえず、栗まんじゅうから食べよっか?」
「いただきます!」
わくわくとした表情で栗まんじゅうに手を伸ばす美咲と芽衣に、恵子は微笑んでうなずく。
自分も栗まんじゅうに手を伸ばし、ふたつに割ってみるとふわっと湯気が見えた。
「まだほかほかだ!」
「気をつけて食べるんだよ」
恵子もぱくりと食べた。皮はほんのりと甘く、栗しか入れていないので栗本来の味を楽しめるまんじゅうだ。
「美味しい!」
「おいしー!」
目をキラキラと輝かせるふたりに、恵子はふふっと微笑む。
「それにしても、栗まんじゅうって栗の形してないんだね……」
「地元では普通のおまんじゅうよ。中身が栗だから、栗まんじゅう。地区によってはあんこも入れるみたい」
「町内でも全然違うよねぇ……」
「本当にね。地区によって違うから、いろんな人と話すと面白いよ」
「お父さんにあげたい!」
「……そっか、そうだね。芽衣もお手伝いしてくれたもんね」
「ふふ。気持ちが大事なのよね、こういうのは」
美咲が小さく首を縦に動かして、芽衣を見る。恵子はにこにこと笑う彼女たちを見て、ほんわかと胸の中が温かくなる。
(――おいしいまんじゅう作らないとね)
ふたりの会話を聞きながら、恵子は小麦粉を足してお湯を注いだ。
「こんなにたくさん使うの?」
「皮は余ったらだんずにするからねぇ」
「だんずってなぁに?」
「小麦粉の餅さね。砂糖醤油で食べるとうんまいんだよ」
「芽衣はマヨ醤油のほうが良いかも?」
「どっちもおいしそう! 食べてみたい!」
ちょうど良い柔らかさになった皮を手のひらに乗せて、くぼみを作り丸めた栗を押し込んで包んでいく。
「わ、けーこばぁば素早い!」
「慣れさね、慣れ。美咲ちゃんも慣れっとできるようになるべ」
「そうかなぁ……」
美咲と芽衣は苦戦しているようだ。そのあいだに恵子は次々とまんじゅうを丸めていく。
丸める前に大きな鍋にたっぷりの水を入れて火にかけていた。丸めたまんじゅうを茹でれば完成だ。
……そして、やはり皮は余った。だんずも作るつもりだったのでちょうど良い。
平べったい丸型に成形していくと、芽衣が「これがだんず?」と聞いてきた。
こくりと恵子がうなずくと、「……おいしいの……?」と怪訝そうに唇を尖らせる。
「好みだからねぇ、これも。まぁ、小麦が好きな人は美味しいんじゃないかねぇ?」
「とか言いながら、パクパク食べる芽衣の姿が想像できるわー」
まんじゅうの皮に火が通るまで茹で、大皿に乗せていく。出来立ては熱いので注意が必要だ。だんずも一緒に茹でてもらい、冷ます。
「もう食べられるの?」
「熱いから気をつけんと」
ちなみにまんじゅうもだんずも冷凍できるので、冷凍庫に余裕があるときが良い。五キロの小麦をすべて使い切るので、かなりの量になるからだ。
手で持てるくらいまで冷まし、味見分の栗まんじゅうとだんずを食卓に並べる。
砂糖醤油とマヨ醤油も用意した。
「とりあえず、栗まんじゅうから食べよっか?」
「いただきます!」
わくわくとした表情で栗まんじゅうに手を伸ばす美咲と芽衣に、恵子は微笑んでうなずく。
自分も栗まんじゅうに手を伸ばし、ふたつに割ってみるとふわっと湯気が見えた。
「まだほかほかだ!」
「気をつけて食べるんだよ」
恵子もぱくりと食べた。皮はほんのりと甘く、栗しか入れていないので栗本来の味を楽しめるまんじゅうだ。
「美味しい!」
「おいしー!」
目をキラキラと輝かせるふたりに、恵子はふふっと微笑む。
「それにしても、栗まんじゅうって栗の形してないんだね……」
「地元では普通のおまんじゅうよ。中身が栗だから、栗まんじゅう。地区によってはあんこも入れるみたい」
「町内でも全然違うよねぇ……」
「本当にね。地区によって違うから、いろんな人と話すと面白いよ」