某日、とあるニュース番組にて。


「続いてのニュースです。本日、またしても遺体が発見されました。これで同様の遺体遺棄事件は四件目となり、警察は連続殺人の可能性も視野に入れ、捜査を強化しています。被害者は四十代の男性で、身元はヴォリック・アエルソーンさんと確認されています。それでは、現場からサロス記者が最新の状況をお伝えします。サロスさん、現場の様子はいかがですか?」

「はい、こちら現場のサロスです。私は今、遺体が発見された場所のすぐ近くに来ています。ご覧の通り、警察が厳重に現場を封鎖しており、捜査員たちが慎重に証拠を収集しています。警察犬も投入され、捜査は昼夜を問わず行われる予定です。現場周辺には多くの地元住民や報道陣が集まっており、緊張感が漂っています」

「これで四件目ということで、事態はますます深刻化していますが、これまでの事件との共通点について何か新しい情報はありますか?」

「そうですね、今回の事件でも、これまでといくつかの共通点が確認されています。まず、被害者全員に外傷が一切見られないという点です。警察は毒物の使用を疑っていますが、過去の事件ではいずれの被害者からも毒物反応は検出されていません。そして、今回も遺体は木の下に綺麗に横たえられ、花で丁寧に包まれている状態で発見されました。まるで何らかの儀式が行われたかのような光景です。警察はこの儀式的な要素が、犯人の意図を示している可能性があるとして、捜査を進めています」

「遺体が花に包まれた状態で発見されるというのは、かなり異様ですね。地元の住民の方々の反応はいかがですか?」

「住民の間には強い不安が広がっています。特に、犯行が無差別に行われているのではないかという恐怖感が根強く、『次の犠牲者は自分かもしれない』という声も少なくありません。住民の多くは夜間の外出を控えるなど、警戒を強めています」

「無差別に狙われる恐怖は、計り知れないですね。その他、何か進展はあるのでしょうか?」

「現時点では、警察は現場周辺の証拠収集を進めており、特に遺体が安置されていた木や周囲に重点を置いて調査を進めています。また、被害者同士の関係性についても引き続き調査が行われていますが、現時点では明確な接点は見つかっていないようです。警察は地域全体の安全確保に向け、夜間のパトロールを強化するとともに、防犯対策の徹底を進めています」

「住民の不安は大きいと思いますが、地域としてはどのように対応しているのでしょうか?」

「住民の方々は非常に警戒しており、地域全体で協力しながら防犯対策を強化しています。夜間の外出を極力控え、家族や近隣同士で連絡を取り合うなど、情報の共有が積極的に行われています。また、警察も防犯セミナーを実施し、非常時の対応方法についてアドバイスを行っています。地域全体が協力して、この状況に対応しようとしている様子が伺えます」

「地域全体で協力して不安に立ち向かっているということですね。サロス記者、ありがとうございました。視聴者の皆さんには、引き続き新たな情報が入り次第お伝えしてまいります」



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 テレビで報じられているのは、マクリスの家からそう遠くない町で起きた不可解な事件。距離こそあれど、その不穏な空気は、この町の住民たちの心へ忍び込み、じわじわと根を張り始めていた――パニーたちがこの地に足を踏み入れたのは、まさにその気配が形を成し始めた頃のことだった。