前世の記憶があるということで、少し頭のいい子と言われてきた。

桜子が7歳の頃に次女、10歳の頃に長男が生まれた。


教養を身につけ、育った桜子はとても美しく頭のいい少女になった。


齢は17歳。そろそろ、婚約者が決まると言う時……気がついてしまった。

この家の苗字は七瀬。七瀬家は——人間でありながら名家であり、代々鬼のいる家に娘は嫁いでいると。



「桜子……お前に、婚約者ができた」


深刻そうな顔をする父親に、朝ごはんを食べている中そんなことを言われてしまう。

ぴたりと止まってしまった箸。


「……はい、お父様」



冷静さを失わないようにして、淡々と父親と話す。

お前をまだ渡したくないだの、色々言われたが……ついに、相手の名前がでそうになったのだ。