だが、尊との距離は遠いまま。
仕事が忙しく、よく家を空ける彼。やっと帰ってきた、と胸を踊らせながら玄関に向かうと……。
「おかえり、尊」
「はい、ただいま」
尊は、にっこり、誰にも見せないような笑みを浮かべていた。
相手の女性はスラリと背が高くて、とても美しい。
何もかも平凡な小春にとって、その女性に勝ち目などないとすぐに悟ってしまった。
急いでその場から離れる。尊は、小春がこんなところを見ているだなんて知ることもないまま。
庭に向かった小春は、真っ先に猫又を呼んだ。
「なんじゃ、小春」
「私、もう無理ですっ……何も、手につきません」
「お主はもう少し、自分の気持ちに素直になって、はっきりとした意思を持ってもよいのじゃないか?」
「そんなこと……だって私は妖の長である尊様の嫁ですよ……?意思なんか持ったりしても、迷惑かけるだけで……」
「……」
はぁとため息をついた猫又は、その太くてもふもふした尻尾で小春の頬を撫でた。
仕事が忙しく、よく家を空ける彼。やっと帰ってきた、と胸を踊らせながら玄関に向かうと……。
「おかえり、尊」
「はい、ただいま」
尊は、にっこり、誰にも見せないような笑みを浮かべていた。
相手の女性はスラリと背が高くて、とても美しい。
何もかも平凡な小春にとって、その女性に勝ち目などないとすぐに悟ってしまった。
急いでその場から離れる。尊は、小春がこんなところを見ているだなんて知ることもないまま。
庭に向かった小春は、真っ先に猫又を呼んだ。
「なんじゃ、小春」
「私、もう無理ですっ……何も、手につきません」
「お主はもう少し、自分の気持ちに素直になって、はっきりとした意思を持ってもよいのじゃないか?」
「そんなこと……だって私は妖の長である尊様の嫁ですよ……?意思なんか持ったりしても、迷惑かけるだけで……」
「……」
はぁとため息をついた猫又は、その太くてもふもふした尻尾で小春の頬を撫でた。