その後、坂口とくだらないやり取りをしながら、適当に街を歩いた。海の生き物をモチーフにしたビーズで作られた緩くてかわいらしい見た目のキーホルダーが安売りしていたため、何故か二つも衝動買いしてしまった。カメとタツノオトシゴ。何故これを選んだか、自分でも分からないが、目が合ってしまい、買わなければ後悔する気がした。キーホルダーをつける場所など考えずに購入したため、取り合えず通学用鞄に二つ並べてつけることにした。坂口に「可愛いな」と褒められたカメとタツノオトシゴは、互いにぶつかりながらゆらゆらと揺れている。家に帰った今も、キーホルダーは二つ、鞄の端で退屈そうにぶら下がっていた。
部屋のベッドに寝ころびスマートフォンを無意識的に操作していたら、瀬爪を助けた動画が目に入り、彼の背中を思い出す。
証拠動画がある以上、これを教師陣に見せて対策をさせるのが俺のやるべきことだと理解はしていたが、何もしていない現状だけが此処にある。
理由は主に二つ。
一つ目は、教師陣に何を言ったってどうせ変わらないと思っている節があるから。実際、未遂のカツアゲが起こった一年ほど前から、何も変わらない学園生活を小汚い半グレ達は送っている。とは言っても、進学校の半グレなんてヒヨコのようなもので、大した爆弾を落とすことも無い。それを分かっていて教師たちも、注意程度の処遇で終わっているのだろう。とにかく、教師陣には、なんとなく頼りたくないのだ。大人というものを、そもそも俺はあまり信用していないのかもしれない。
二つ目は、一度誰かに動画を差し出してしまうと、価値が薄れるから。この動画は、俺しか持っていないことに意味がある。弱みを握るというのは非常に効果的だ。動画の価値が極めて高いままで保管することにより、彼奴らは俺がいる前では下手に行動が出来ないだろう。次、俺に現場を押さえられたらどうなるのか。この動画が残っているという事実により、彼奴らが哀れな行動を自粛するのではないかと甘い期待を持ち合わせている。
瀬爪には少し申し訳ない気持ちもあるが、助けてやった事実は変わらない。教師が介入することで、彼奴を助けた人間は俺だけでは無くなる。厳密に言えば、田中も瀬爪を助けた…と言えなくもないが、小さな意地だろうか、瀬爪を助けたのは俺だという肩書を欲していた。まるで、己がヒーローであるかのように勘違いをしている痛々しい話だが、まだ未成年の餓鬼の思考だと目を瞑ってほしい。
今夜はゲームなどせずに、質の高い睡眠を取ろう。普段なら起きている時間だが、早めに部屋の明かりを消して、目を瞑る。突発的なイベントが起こり疲れていたのか、俺は直ぐに眠りの世界へと足を踏み入れ、明日も何か、退屈と感じない程に面白い出来事が起これば良いな、と願い眠った。
部屋のベッドに寝ころびスマートフォンを無意識的に操作していたら、瀬爪を助けた動画が目に入り、彼の背中を思い出す。
証拠動画がある以上、これを教師陣に見せて対策をさせるのが俺のやるべきことだと理解はしていたが、何もしていない現状だけが此処にある。
理由は主に二つ。
一つ目は、教師陣に何を言ったってどうせ変わらないと思っている節があるから。実際、未遂のカツアゲが起こった一年ほど前から、何も変わらない学園生活を小汚い半グレ達は送っている。とは言っても、進学校の半グレなんてヒヨコのようなもので、大した爆弾を落とすことも無い。それを分かっていて教師たちも、注意程度の処遇で終わっているのだろう。とにかく、教師陣には、なんとなく頼りたくないのだ。大人というものを、そもそも俺はあまり信用していないのかもしれない。
二つ目は、一度誰かに動画を差し出してしまうと、価値が薄れるから。この動画は、俺しか持っていないことに意味がある。弱みを握るというのは非常に効果的だ。動画の価値が極めて高いままで保管することにより、彼奴らは俺がいる前では下手に行動が出来ないだろう。次、俺に現場を押さえられたらどうなるのか。この動画が残っているという事実により、彼奴らが哀れな行動を自粛するのではないかと甘い期待を持ち合わせている。
瀬爪には少し申し訳ない気持ちもあるが、助けてやった事実は変わらない。教師が介入することで、彼奴を助けた人間は俺だけでは無くなる。厳密に言えば、田中も瀬爪を助けた…と言えなくもないが、小さな意地だろうか、瀬爪を助けたのは俺だという肩書を欲していた。まるで、己がヒーローであるかのように勘違いをしている痛々しい話だが、まだ未成年の餓鬼の思考だと目を瞑ってほしい。
今夜はゲームなどせずに、質の高い睡眠を取ろう。普段なら起きている時間だが、早めに部屋の明かりを消して、目を瞑る。突発的なイベントが起こり疲れていたのか、俺は直ぐに眠りの世界へと足を踏み入れ、明日も何か、退屈と感じない程に面白い出来事が起これば良いな、と願い眠った。