「ごめん、いじけて。なんか用事あったんでしょ」
わざわざ駅前の店までやってきて、対面で席についた途端駿は謝った。
俺は駿のこういうところが好きだった。
男らしい潔さと真面目さ。
「あはは」
「何笑ってんの。今度からはちゃんと言って帰ってよ」
もう家も近かったのに、遠回りしてここまで来た。
駿の機嫌を直すために。
急に態度が一転した駿の気持ちが手に取るようにわかって、思わず笑ってしまった。
「うん。わかった。美味しい?シェイク」
「うん。ありがとう」
◇
「豊臣秀吉?」
「ブー。お前テスト大丈夫か」
日も落ちてきて薄暗くなった。
問題集を見ながらのろのろと家まで歩く。
バカにして、バカにされて、バカみたいに笑いながら歩く時間が何より楽しい。
「やばいよ、一個でも補習になったら部活できないのに。教えて」
「教えてつっても社会は暗記ゲーだろ」
「だとしても!今年は晴を甲子園に連れて行ってやんねーとな」
駿が気合を入れるようにその坊主頭を撫でながら言った。
俺はその仕草を眺めながら思った。
晴ちゃん、全然チャンスあるじゃないか。よかった。
「涼、今年も新聞部で記事にしてくれるだろ」
「うん。当たり前。活躍してね」
もうマンションはすぐそこだ。
俺は駿に笑いかけて問題集を閉じた。
わざわざ駅前の店までやってきて、対面で席についた途端駿は謝った。
俺は駿のこういうところが好きだった。
男らしい潔さと真面目さ。
「あはは」
「何笑ってんの。今度からはちゃんと言って帰ってよ」
もう家も近かったのに、遠回りしてここまで来た。
駿の機嫌を直すために。
急に態度が一転した駿の気持ちが手に取るようにわかって、思わず笑ってしまった。
「うん。わかった。美味しい?シェイク」
「うん。ありがとう」
◇
「豊臣秀吉?」
「ブー。お前テスト大丈夫か」
日も落ちてきて薄暗くなった。
問題集を見ながらのろのろと家まで歩く。
バカにして、バカにされて、バカみたいに笑いながら歩く時間が何より楽しい。
「やばいよ、一個でも補習になったら部活できないのに。教えて」
「教えてつっても社会は暗記ゲーだろ」
「だとしても!今年は晴を甲子園に連れて行ってやんねーとな」
駿が気合を入れるようにその坊主頭を撫でながら言った。
俺はその仕草を眺めながら思った。
晴ちゃん、全然チャンスあるじゃないか。よかった。
「涼、今年も新聞部で記事にしてくれるだろ」
「うん。当たり前。活躍してね」
もうマンションはすぐそこだ。
俺は駿に笑いかけて問題集を閉じた。