卒業式の日の朝、家のドアを開けると隣のドアの前に人影があった。
「晴ちゃん」
夏以降、朝に会うのは初めてかもしれない。
「涼ちゃん東京に行っちゃうから、遠距離になるんだね」
俺は無事志望の大学に合格した。
家族も先生も、そして誰より駿が喜んでくれた。
「私、大学は家から通うから、浮気しないように見張っとく」
晴は照れたように前髪を触る。
もう自分は駿を好きではない。
そう伝えようとする、晴なりの配慮だった。
「不安?」
晴が静かに聞く。
「そりゃね。モテ人間だから」
「前3人で遊園地行った日、あいつが私になんて言って振ったか知ってる?」
「好きな人がいるって言ったんだっけ」
「そう。その人のどこがそんなにいいのか聞いたの」
晴は俺が初めて聞く話をした。
『はっきりわかんないけど、ずっと俺のそばにいる感じがする。
安心するんだ、とにかく。
一緒にいてもいなくても、その人を思い出して、そしたらもう少しだけ頑張れる』
「察したよね、だって駿にとってそんな存在1人しかいないもん。
小さい頃からずっと2人といた私にバレないわけないのに」
今日、高校を卒業する。
晴の寂しそうな笑顔が愛おしかった。
こうして間接的に感じられる駿の愛情に安心して、その中にやっぱり一抹の寂しさがよぎる。
「晴ちゃん」
夏以降、朝に会うのは初めてかもしれない。
「涼ちゃん東京に行っちゃうから、遠距離になるんだね」
俺は無事志望の大学に合格した。
家族も先生も、そして誰より駿が喜んでくれた。
「私、大学は家から通うから、浮気しないように見張っとく」
晴は照れたように前髪を触る。
もう自分は駿を好きではない。
そう伝えようとする、晴なりの配慮だった。
「不安?」
晴が静かに聞く。
「そりゃね。モテ人間だから」
「前3人で遊園地行った日、あいつが私になんて言って振ったか知ってる?」
「好きな人がいるって言ったんだっけ」
「そう。その人のどこがそんなにいいのか聞いたの」
晴は俺が初めて聞く話をした。
『はっきりわかんないけど、ずっと俺のそばにいる感じがする。
安心するんだ、とにかく。
一緒にいてもいなくても、その人を思い出して、そしたらもう少しだけ頑張れる』
「察したよね、だって駿にとってそんな存在1人しかいないもん。
小さい頃からずっと2人といた私にバレないわけないのに」
今日、高校を卒業する。
晴の寂しそうな笑顔が愛おしかった。
こうして間接的に感じられる駿の愛情に安心して、その中にやっぱり一抹の寂しさがよぎる。