「あいつと仲良いの?」

「え?ああ田中?まあ」

お前の方が仲良いんじゃないの?と聞くのは野暮なようだ。
駿がちょっぴり拗ねているとわかったから。

最近の駿は家のドアの前まで俺を送る。
そしてそこで一言でも多く言葉を交わす。

俺の手を取って、爪をいじいじと触る。
冷えた指先が暖かくなっていくのを感じられる。この時間が好きだった。

「イヤホン、ちょっと妬いたかもな」

駿が呟いた。
そして俺の肩に頭を押し付ける。
その可愛さに吹き出した。

友だちでも、恋人になっても変わらない。
好きだ。そう思った。