マンションのエントランスでの別れ際、駿に向き合って言う。

「駿、俺、東京の大学に行くことにした」

「そっか」

「やってみたい仕事が見つかった」

企業の採用情報を調べていたら、そのためには都内の大学に通っておいた方が有利なようだ。

「応援するよ」

「とか言って、明日には変わってる夢かもしれない。俺って浅いからな」

「浅いなんて思ったことねえよ」

そう言ってくれる駿のもっと深いところまで知りたい。
俺の知らない駿がまだまだいる気がする。