「これ読んでいい?」

駿が指差したのは棚に燦然と置かれた校内新聞のバックナンバーだ。
俺が頷くと、それを机まで持って来て読み始める。

こうして色褪せずに残り、読まれるものもある。

自分の本心がわかる人はどのくらいいるだろうか。
人の愛し方を知っている人はどのくらいいるだろうか。

今俺の目の前にいる、俺の尊敬する人は、それを知っている。
そして俺にそれを教えてくれる。

花束のような人だ。

どんな感情にも向き合い、自分と成る花として受け入れている。
決して自分から目を背けない。

だからその花束は不揃いで、ぐちゃぐちゃで、でもどの花も絢爛と咲き誇っている。

たった一輪の俺に、眩しすぎる彼を受け入れることはできるだろうか。