「どう勝てそう?」

コンビニで買ったアイスを齧りながら、暖かい灯りを漏らすマンションへ歩く。話す。

「当たり前だろ。俺がいるんだから」

なんつって、と駿は肩をすくめる。

実際その通りだ。
駿は周辺にある強豪校にいても通用する強打者であり、チームのメンタルの要でもある存在だ。

「次勝ったらついに決勝だもんな。楽しみにしてる。応援行くから」

「ありがとう」

「頑張れよ」

気の利いた一言は言えなかった。
あの後晴とは気まずくなっていないか、
試合前でナーバスになってるんじゃないか。
いくらでも気の使いようはあったのに、俺は自分のことに精一杯でどうしようもなかった。