私は若い門兵さんにお礼をいって、早速向かうことにしました。
手数料もですが、今夜の宿の為にどうにかお金を手に入れなければいけません。森を歩きながら採取した薬草類がどれくらいになるかですね。
今の鑑定では売値まではわかりませんから。
街並みは、月並みですが日本人のイメージする中世ヨーロッパに所々現代が混じった感じといったところです。要は近世+現代のちぐはぐな雰囲気という事ですね。
冒険者ギルドはすぐに見えて来ました。
なんというか、これもイメージ通りですね。正面に受付のような所があって、右手の一角が酒場になっています。ラノベだとこのパターンか役所のようなところが多いですが、私は酒場ありパターンの方が好きなので嬉しいです。
今はちょうど太陽が真上に来たくらいなのでギルド内に人は少ないです。せいぜい酒場で五、六人が騒いでるくらいでしょうか?
テンプレはありますかね?
まぁ来ても今の私の戦闘技術がどれほど通用するかわかりませんし、困りますけど。
とりあえず、『人族』っぽい受付嬢さんに話しかけましょう。綺麗というか、可愛いって感じですね。クラスに一人はいるってくらいです。
近づいていくと、一瞬何やら驚いた顔をしたように見えました。気のせいですかね?
「すみません、ギルドに登録したいのですが。」
「登録ですね。それではこちらに必要事項の記入をお願いします。書きたくないことは書かれなくてもかまいませんが、太枠だけは必ずおねがいします」
そういって、受付嬢さんは紙とペンを差し出されます。
あぁよかった。文字はよめる。日本語に聞こえるのに口の形が合わないので、少し不安だったんですよね。<言語適正>は文字にも対応しているようでありがたいです。管理者に感謝ですね。本当に。
太枠は登録名、登録経験の有無ですか。他は得意な戦闘方法、使用魔法属性や使用武器、種族に出身、年齢、その他特技です。
登録経験はもちろんありません。使用魔法属性はスルー。使用武器もまだ決めていないのでスルー。出身も、まさか異世界とか日本とかなんて書けません。スルーで。
種族は書いておきましょうか。
年齢は書きません。万が一やらかした時があれば、きっと勘違いしてくれるでしょう。
特技の欄に<鑑定>と<ストレージ>を書いておきます。<鑑定眼>は警戒されることもあるらしいので。<魔力視>はほとんど知られていないため書きません。
そして、名前、ですか。はい、忘れてました。
……ふむ、早く書かなければ怪しまれます。
……この髪からつけますか。
時々青っぽく見える銀髪ですから……
あれ、いえ、あれと………
……よし、決めました。今から私は『アルジュエロ』です!
とりあえず、紙を渡しましょうか。