城壁を確認してからどれくらい歩いたでしょうか? それなりに時間がかかったように思います。私はようやく最初の町――いえ、これは街ですね――にたどり着きました。
 かなり高い城壁です。
 なんとなく、某ドラゴンなRPGの九作品目に出てくる酒場付き宿屋のある城下町を思わせますね。
 とにかく中へ入りましょう。

  けっこう人が並んでますね。まあこの規模です。仕方がありません。

 ――もうすぐですね。案外で早いと思ったら、前の方でいくつかに列が分かれていました。

 しかし、この辺りは魔物が多いのでしょうか? 門の先に開けた場所があり、その先にまた門があってそこで通行者のチェックが行われてます。
 開けた場所はそこそこの広さ、……そうですね、二百人は入れるだろう広さがあります。まあ馬車などを考えれば百人ちょっとがせいぜいでしょうね。
 きっと魔物が来たら一度そこまで入ってもらうのでしょう。何がなんでも未チェックの人を入れたくないという事ですかね?

「次!」

 などと考えていたら門兵さんによばれました。
 若いですね、鼻の下が伸びてます。

「身分を証明できるものをおねがいします」

 おや、存外に丁寧。まじめなんですね。やっぱり鼻の下は伸びてますが。

「実は、野営中に盗賊に捕まりまして。幸いにも森の中を移動中彼らは魔物に襲われて全滅してしまったので、隙をみてにげだしたんですが、荷物は金目の物以外は処分されてしまったみたいなんです。やっぱりないと通れないですか?」

 森を歩きながら考えた言い訳を、腕を組んで胸を強調するように言ってみます。だって鼻の下が伸びてますから。

「い、いや、犯罪を犯していなければ問題ありません。仮の身分証を発行するので手数料の銀貨一枚を一週間以内に払っていただければ」

 お、照れてますね。胸を強調する必要はなかったようですが。

「こちらに手を乗せてください」

 そういいながら彼は占い師が使う水晶のようなものをさしだします。とりあえず手を置いてみると、青く光りました。犯罪を犯していたら別の色になるのでしょう。よくラノベで見るやつですね。

「はい、問題ありません。こちらが仮の身分証になります。これは街を出る時に返すか、新しく身分証を発行した後に返していただければ大丈夫です。
 冒険者ギルドは道沿いに真っ直ぐいけばすぐわかります。商人ギルドは中央広場にありますので。ただし、一週間以内、または街を出る時までに手数料の支払いがなければ牢屋行きですので気をつけてください」

 親切ですね。やはり胸を強調した甲斐があったかもしれません。なんて。

 住人以外が身分証明しようと思ったら冒険者か商人のどちらかのギルドに登録することになるようです。えぇ、冒険者です! いい響きですね!
 これは迷う余地はありませんね!

 現実的に見てもそれ以外ないのですけどね。