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「もどったわ。はい、これお願いね」
「お疲れ様でした。査定しますので10分ほどお待ちください」

 今回売らないのは肉のみ。内臓は食べないそうです。しっかり処理すれば食べれそうですが、それはまた今度にしました。

 素材として売れるのは皮と心臓、それから定番の睾丸ですね。皮は鎧や盾に、心臓は薬師や錬金術師が触媒として、睾丸は精力剤として使うそうです。

「はい、お待たせしました。皮が30万L、心臓が20万L、睾丸は60万3000L、それから魔石が5万Lで合計115万3000Lです」

 魔石とは、魔物が体内に持つ結晶体で、魔道具などの動力として使われます。純度が高いものだと魔結晶と呼ぶこともありますね。

「意外と安いのね」

 Cランクとはいえ、あの大きさ――ピンポン玉より少し小さいくらい――のモノなら倍してもおかしくないはずです。

「オーク種のは不純物が多いんですよ」

 なら納得ですね。
 
「それじゃあ、それは売らずに持っておくわ」
「わかりました。では、合計110万3000Lですね。金貨十一枚と銀貨三枚でよろしいでしょうか?」

 ちょっと考えがあるんです。

「金貨一枚を銀版九枚と銀貨十枚、それから銀貨一枚を銅貨にしてくれる?」

 あまり大きいと使いづらいですからね。

「はい、……それでは金貨十枚、銀版九枚、銀貨十一枚、それから銅貨十枚です。ご確認ください」
「たしかに、ありがとう」

 さすがCランク。スタンピートの基本報酬の倍以上になりました。その少なさが実感できた、とも言えますが。

 それから売店でギンに勧められた魔物図鑑全十巻を三巻まで買い、帰路につきます。

 さて、これでようやくハイオークが食べれますね!
 売れば一頭あたり金貨二十枚はくだらないというハイオーク。自分で作ってもいいですが、ベアルさんに頼みましょう。どんな味かわからないですから最初は慣れたプロに頼むべきです!