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 解体場はいくつかあるらしく、今回案内されたのは中型サイズまでの解体を行うところでした。
 見た目は学校の体育館で広さはサッカーコートと同じくらいです。

 ハイオークは3メートルちょっともありますが、魔物としてはギリギリ小型だそうです。
大型ってどれだけ大きいのでしょう……。
 なんでもその解体のために地下に今いる解体場の数倍はあるスペースを確保してあるらしいです。

 ともかく、ここに来た目的を果たしましょう。
 お兄さんが誰かを探しています。

「あ! いた! ギンさん!」
「おう、追加の解体依頼か?」
「はい、こちらの『狂戦姫』さんがハイオークの解体を依頼したいそうです」

お兄さんに呼ばれて来たのは鬼人族の男性でした。
 どうやら『ギン』という名前らしいですが、『妖鬼族』であるシュテンと違って見た目から力が強そうです。ええもうムキムキです。

「ほう、お前さんが『狂戦姫』か。人は見た目によらねえなあ。まあギルマスでわかっちゃいたがな。ガハハッ!」

 彼も鬼人族の例に漏れず豪快な人物なようですね。
 これならお願いも聞いてくれるでしょう。

「あまり女性に狂ってるなんて言わないものよ? それより、解体するところを見たいのだけれどいいかしら?」
「おう、それはすまんな。なんだお前さん、〈解体〉スキルないのか?」
「あるにはあるけど、まだレベルも低いし、スキルで補えない部分もあるでしょう?」
「まあそうだな。もちろんスキルレベルが高いに越したことはないが、そもそも解体のスキルレベルを上げるには知識も要るし自分でどうするか把握しておいた方が素材の状態もよくなる」
「ということで、お願いね」
「ああわかった。俺はギンだ。ついてきな」
「ありがとう。私はアルジェよ。ああお兄さん。案内助かったわ」
「いえ、仕事ですから」

 そう言って戻っていったお兄さんに背を向けてギンのあとを追います。

 ちなみに解体スキルなんてもってません。
 おそらく見てるうちに覚えると思うのですが、普通はそんな短時間で覚えませんのでそう言っておきました。

「よし、ここでやろう。ハイオークをだしな。」

 ギンが指定したあたりにハイオークをだします。解体待ちらしきハイオークのすぐ横です。

「ほう首を一撃か。断面も綺麗だ。腕がいいのか武器がいいのかは知らんが、こっちとしても綺麗に仕留めてくれた方がやりやすいし素材も多く取れる」

 その辺りには気を使いましたからね。おいしいお肉のためです!

「これからこいつを解体するが、自分で経験しておいた方がいいところはそっちのギルドで回収した方でやって見せる。そのあとは後ろで見といてやるからやってみな」

おっと大丈夫ですかね? 私本当はまだスキルないんですが。


 なんて若干不安になりつつ、ギンが解体するところを解説を聞きながらみていると五分ほどで生えましたよ。〈解体〉スキル。
 その直後にやってみろと言われたのでギリギリセーフでしたね。

 ちなみに、私にやらせるためにもう片方のオークを解体した時は同じ所まで半分以下の時間で終わらせていました。

 解体が終わったのは始めてから一時間ほど経った頃。なお半分以上の時間を私が使ってます。スキルレベル7のギンと1の私を比べてはいけません。

「よし、これで終わりだな。しかしホントにスキルレベル低いんだな。ギルドの魔物図鑑によっぽど珍しかったりしない限り、だいたいの魔物の解体方法は書いてあるから読んでおきな。鑑定スキルでもlv8でわかるようになるらしいがな」

 なるほど、つまり今の魔力量ではlv7以下の性能ということですね。

「わかったわ。ありがとう。結局ここを頼ることはそれなりにありそうだし、その時はおねがいね」
「おう、まかしときな! それじゃあこいつら持って行きな。査定はさっきのやつの仕事だ」

 そう言って渡されたのは先程処理をした素材たち。ついでに保存方法も教えてもらえました。
 まあ私はストレージにぽいっ、てすることの方が多そうですが。