さて、なにか依頼でも受けましょうかね。
スタンピートの報酬が基本報酬だけで金貨5枚もありましたので余裕はあります。
貢献度によるものも別であるそうなんですが、今回のスタンピートの原因調査が捗っていないらしく、まだ確定しないらしいです。
時間は昼食には少し早いくらいですから、近場のものしかうけられません。お昼は移動しながらなにかつまめるものを買うつもりです。
あぁそういえば、こっそり回収したハイオークが〈ストレージ〉に眠ったままでしたね。
ベアルさんに頼もうかとも思いましたが、あの大物を解体するには忙しすぎるでしょう。
自分でやるには知識がたりません。
初心者講習で習ったのはもっと低ランクの魔物の解体方法、というか剥ぎ取り方法です。オークやハイオークはわかりません。
「よぉ〜嬢ちゃん。1週間ぶりかぁ? ゲヘヘッ」
「あら? se…シンじゃない。そうね」
「? そんで、なんか悩んでたようだが相談に乗ってやってもいいぜぇ? 安心していいぜぇ? なんも怖いことなんてねぇんだからよ! ギャハハハ!」
「え、いや、別に問題ないわ」
慌てて取り繕ってしまいました。
まぁこっそりくすねたハイオークの解体で悩んでたとはいえませんし。
「ひょっとしてハイオークあたりの解体かぁ?」
「ち、違うわ!」
もう冷や汗ダラダラです。
「ギャハハハ! そう慌てるなって。別にわるいことじゃぁねぇよ。暗黙の了解ってやつだ。嬢ちゃんは〈ストレージ〉もちの癖に新人って変わり種だからなぁ!」
「そ、そうなの……って何で私が〈ストレージ〉持ってるって知ってるのよ!」
「スタンピートの時使ってるの見たやつから聞いたんだよ。その様子じゃぁやっぱくすねてたよぉだなぁ? 『狂戦姫』さんよぉ?」
「そ、そうゆう事ね。」
……ん? 『狂戦姫』?
「ちょっと待ちなさい。『狂戦姫』って何よ、『狂戦姫』って!」
「ギャハハハ! な〜に驚いてんだぁ? 聞いたぜぇ? 不気味な大剣で首チョンパしながら狂ったように笑ってたそうじゃねぇか? そんだけ目立ちゃぁ二つ名くらいつくってぇの!」
「うっ…。そんなに目立ってたのね。」
「しかも嬢ちゃんはイイ女だしなぁ!」
それは当然です! そう作りましたから!
口には出しませんけどね。
「ちなみに俺ぁ『仮面の変人』ってのと『マジ別人』ってのがあるぜぇ?」
「……そ、そう」
いや、まぁ納得なんですが。
特に二つ目って二つ名なんでしょうか?
ルビ振る意味あります?
すっっっごい納得なんですけどね?
「そんで、解体の話だったかぁ?」
そうでした。