それに始祖は本当の意味でイコールですので、他の者は始祖たり得ないです。例外もありますが、鬼神の系譜のそれとは別物ですから、今はいいですね。またいずれその話はしましょう。

 と、長くなってしまいましたね。一応こちらも自己紹介しておきましょうか。

「必要ないと思うけど言っておくわ。アルジュエロ、【転生者】で『吸血族』の真祖よ。よろしく。それと剣よ」

 必要最低限の事だけ言ってさっさと剣をみせます。

「ああよろしく。おお! これはすごいな! 階級は秘宝級《アーティスト》? あぁ隠蔽か。みたとこ伝説級《レジェンダリー》ってとこだな」

 あっさり看破されましたが、彼だからという事にしておきます。

「ふむ、いい物を見せて貰った。礼というのもあれだが、なんかあったら相談ぐらいのってやる。ここ数十年、スタンピードは増え続けてるし、強い奴は大歓迎だぜ?」
「私がのりますのでギルマスは引っ込んどいてください」
「ほんと雑ね」



 剣を返して貰った後はそんな会話をしながら、握手だけして私は部屋(ギルマスの執務室らしい)を後にしました。

 ――それにしてもなんであの見た目でオークジェネラルを片手かつ魔力強化なしで振り回せるのでしゃう? 細マッチョではあるのですけれど……。



◆◇◆

「行ったな」
「別に問題なかったでしょう? いい子ですよ、アルジェさんは。
「あぁ、彼女自身はそうだな。だが杞憂ではないぞ。あの剣、アレはヤバイ。なにかはわからないが異様な気配を感じた。」
「神授の剣だからじゃないんですか? それに状態も<神呪>となってましたし」
「前に依頼で片付けた精神を犯す呪いの魔剣に似ていた。リオラ、彼女をよく()()おいてくれ」

「わかりました。まあ他の子には任せられませんし、私自身アルジェさんは嫌いではありません。しかし、剣だけですか?」
「あぁ、剣だけだ」
「そうですか。……それでは。」

 リオラはそう言ってカウンターの方に戻って行った。

 残ったシュテンは普段の見た目にそぐわない豪快な雰囲気を消して、静かに何かを考えているのだった。