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  あたりに人の気配を感じない森の中、一人、美しい少女が立っていた。

 歳は高校生くらいだろうか。光沢を放つ長い白銀の髪は、光の加減で薄い青みがかっているようにも見える。背は170センチに足りないくらい。透き通るような、アメジストを思わせる瞳は、ボンヤリと森の木々を見つめている。
 胸は巨とつくものには僅かに届かないだろう。しかし形がよく、若さを感じさせる。ややつり上がった目元に、引き締まった腰、そして長い両脚には色気を感じさせるものがあった。

 そんなどこか妖艶な雰囲気を漂わせている美少女―――俺だ。いや、だってロマンだろ? 銀髪美少女吸血鬼。

 それはともかく、そう、吸血鬼、それが俺が選んだ種族だ。もちろん上位種の『真祖』。
おっと、吸血鬼と言うとめちゃくちゃ怒られるんだった。正しくは『吸血族』だそうだ。

 そんな種族で大丈夫かって? 問題ない。この世界は一部の地域を除いて『吸血族』も含め他種族への差別はないらしい。『吸血族』の国もあって他国と堂々と交易をしている。何よりロマンだからな! ……その一部が怖いが。
 しかしここはどこだろうか? まさか西大陸だったりしないよな? ここ。『東大陸』ならいいが、『西大陸』だとかなり過激な人族至上主義の宗教国家があるらしいからな。
 ………まぁないか。長生きしたほうがいいらしいし。最低でも一般には知られていないもう一つの大陸ということはあるまい。

  とりあえず、今の自分の状態を確認しよう。というわけで教えられた方法を試す。

「自分のステータスを鑑定!」

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<ステータス>
名前:no_name(川上弘人) /F(M)
種族:吸血族(人族)
年齢:18(18)
スキル:
《身体スキル》
鑑定眼 言語適正 魔力視 神聖属性適性 吸血lv5 高速再生lv3
《魔法スキル》
ストレージ 創翼lv5 飛行lv3 隠蔽lvMAX

称号:転生者 吸血族の真祖 12/10^16の奇跡 強き魂 副王の加護

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 誰もいない森の中に、俺の言葉が木霊する。
 ぶっちゃけ、声に出す必要はなかったのだが。まあいいか、内容を確認しよう。

 まず、名前はまだない。これはあとで自分でつけろと言われた。

 ()の中は前世の俺のだな。鑑定されても見えないし、魂が世界に馴染めば勝手に消えるらしい。

 表記は見るものに合わせて変わるらしいので、英語とか日本語に見えるのはそうゆうことだ。

 次にスキル。
 管理者と相談して取ったのが<鑑定眼>、<言語適正>、<隠蔽>、<魔力視>、<ストレージ>の五つ。
 なんでもっと取らなかったかと聞かれたら、取らせてもらえなかったと答えることになる。周りへの影響云々とか、俺が思い上がらないようにらしい。

 それはともかく、スキルの説明だ。

 本来<鑑定>は魔法スキルでレベルがあり、魔力を使用するので相手によっては使ったことがバレる。しかし<鑑定眼>は魔眼の一種でレベルがなく、身体スキルなので魔力は使わない。魔眼の一種なので精度は魔力に依存するらしいが、俺の魂のエネルギー量ならば魔力も高くなりやすいため最高レベルのlv10を超えるものを期待できる。

 <言語適正>は管理者に勧められた。無いと詰むから必ずと。

 <隠蔽>は主に称号を隠すため、最高レベルである。そりゃ【転生者】とかあったら騒ぎになるだろう。

 <魔力視>は読んで字のごとく。魔力を視覚的にとらえられる。

 <ストレージ>は、あれですよ。よくあるやつです。もちろん時間経過は無しで、収納量は無制限にしてもらった。
 うん、十分チートですね。チートは無いって聞かされてましたけど、はい。ありがとう!!
 とは言っても<ストレージ>という名前のスキル自体は珍しくない。下位スキルに収納量スキルレベル依存の<収納魔法>があり、そこからスキル進化で得る人がそれなりにいるらしい。普通の〈ストレージ〉の収納量は魔力に依存するようだが、そこまでいってる時点で魔力が少ない人はいないだろうから問題ない。……あれ? そんなにチートじゃないかも。まあいいか。