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次の日、今日も彼女はカウンターに立っていた。
今日も依頼を受けに来る冒険者は多い。
「おはようございます。リオラさん。講習受けに来ました」
「っ!? あ、おはようございます、アルジュエロさん。ギルドカードをお願いします。……はい、大丈夫です。このまま訓練所までお願いします。凄くぴっちりした人がいるので、彼のところで集まってください」
何か変化はあるかと、つい<鑑定>を発動してしまったリオラは驚いた。【転生者】の噂は時々耳にするが、ここまでとは思っていなかった。
(!?)
さらに、何となく、本当になんの気もなしに<鑑定>してみたドレスがとんでもなかった。
リオラは見た事を後悔した。しかし、見てよかったとも思う。これは言っておかなければならない。昨日落ち着いてから気づいたことも含めて。
「あの、称号、<隠蔽>された方がいいですよ。あとお洋服も。お名前はされているようですが」
(さすがにそのままはやばい。特に神聖王国の連中に見られたらどうなるか……)
リオラは一応、名前は<隠蔽>されていたと勘違いしたフリをしておく。
<鑑定>のレベルが高いことは隠しておく方が良いからだ。少しでも疑われる可能性は排除すべきである。
アルジュエロはハッとした顔をした後、リオラにお礼を言いつつ慌てて去っていった。
リオラはほっとする暇もなく次の冒険者の相手をするのだった。
◆◇◆
ギルド内を見渡しても冒険者はほとんどいない。皆仕事へ出かけたようだ。
そんな中、リオラへ近づくものが一人。シンだ。
「よぅ、リオラの嬢ちゃん。あのアルジュエロのとか言う女。やべぇ! もうビンビンだ! 最後本気だしちまった! ギャハハハ! しかもあの女、首に剣添えられて笑ってやがった! ありゃ低ランクのままはもったいねぇ! 少なくともBの下限はあるぜぇ?」
「わかりました。Cからは試験をしなければなのでDまであげておきますね」
アルジュエロ曰く世紀末モードのシンに、ごく普通に対応するリオラ。どこかシュールな光景だ。しかしこれはいつもの事なので誰も突っ込まない。
リオラはそれとなく食事をしているアルジュエロを<鑑定>して、<大剣術>スキルが上がっているのを確認した。
◆◇◆
翌朝、冒険者たちがギルドへ仕事を漁りに来る時間。それはつまり、リオラがいつもカウンターに立っている時間。
しかし今日の彼女は、二本の角を持つ大柄な男と二人、ある部屋にいた。
「――報告は以上です」
「ほぉ。なかなか面白いことになってんな? なんで昨日報告しなかったかってことは聞かないでおいてやろう」
「……ありがとうございます」
なんて事はない。忘れていただけだ。それだけ彼女にとっては衝撃的だったのだろう。
リオラがバツが悪そうにしているのにも関わらず、
「しかし、【転生者】ねぇ。時々話は聞くが、ほんとに居るんだな。ワッハッハ!」
と、なんとも愉快そうな笑い声をあげるの男。
その時であった。
「スタンピードだ!」
そんな声が聞こえてきたのは。