「異世界転生、しませんか?」

 一瞬、俺の時間は止まる。これまで何度も考えたことがある。特に推薦のための試験勉強漬けの日々の中で。しかし、まさか本当にできるとは思うまい。もちろん答えは決まっている。

「喜んで!!」




 しかし、反射的に答えてしまったが、さっきの魂のエネルギー云々が理由で転生も危険なのではなかったのだろうか?
 そんなことを考えていると。

「一つ、可能な世界があります。主が実験的に作った世界で、総じて強度が高く、あなたの影響はこのままでも比較的小さいです」
「比較的小さいということはそれなりにあるんだな。それで、このままじゃなくするんだろ? どうすんの?」
「まず、その世界はいわゆる剣と魔法のファンタジー世界です。………」

 少々長い説明をまとめると、
『その世界では色々魂のエネルギーを使う機会があるからそれで魂のエネルギーを減らしましょう。ちなみにこんなことに使います。

・生き続ける。
・スキルを覚える。
・称号を得る。
・自分が進化する。
・スキルが進化する。
・転生後の体を構築する。容姿を決めてくれるとなお良し。

他にもあるけど例外とかほんの少しだけとかだからこれだけ覚えといてね』

 といった感じだ。

「ご理解いただけたようでなによりです。……世界から隠蔽することは言わなくていいでしょう」

  最後何か言っていたようだが、聞かせるつもりはないようだ。

 しかし、容姿も決めたほうがいいのか。前世と同様でもいいが、性転換というのも面白いかもしれない。さて、どうしようか。

「そういえば、他種族、エルフとかいるのか?」
「はい、います。転生も可能です。」

 となると、あれがいいかな。

 その後、スキルなんかと合わせて相談した後、いよいよ俺は旅立つことになる。

「先ほどもいいましたが、魂のエネルギーは生きることで消費され、一定量を下回れば死にます。ぜひ長生きしてください。
 最後に、あなたは魂の強度やエネルギーの関係で他者よりスキルを得やすいでしょう。その分強くなります。
 もしあなたの心の在り様に問題があった場合、手間ですが、魂の完全消去を行なっていました。
 なぜ、私が記憶をもったままの転生を許したのか、よく考えて生きてください」

 そう管理者が言い終わった瞬間、礼も、返事もする暇なく、俺の視界は暗転した。