「それじゃ暫く休憩だ。そのあと森についてレクチャーして、講習はおわりだな。」

 休憩の後行われたレクチャーでは、主な魔物の痕跡、各層の境の見分け方、入ってはならない場所、採取の仕方、解体の仕方を習いました。
 ちなみに丸ごと持って帰れるなら有料でギルドで解体してくれるそうです。

 なかなか有意義な時間でした。
 講習の終了報告をしにリオナさんの所へ行きます。
 もうお昼なので人気は少ないですね。

「リオナさん、講習終わりました」
「お疲れ様です。アルジェ様。……<隠蔽>なさったようで安心しました」
「はい、助かりました。ありがとうございます。ところで、<鑑定>は初めに来た時ですか?」
「ええ、申し訳ございません。こちらも仕事ですので。」

 それはそうでしょう。危ない人を知る手段があるのに、こういった組織が何もしないはずがない。

「いえ、問題ありませんよ」
「ありがとうございます。
それと、私に対しても敬語ではない方がいいですよ? 薬草を売っていただいた時のような感じで」
「……わかったわ。それにしても、覚えてたのね。なにか、恥ずかしいわ。」
「ふふ、受付嬢として当然ですから」

 あぁそうだ、あれ聞かなきゃですね。

「ところで、せい……講師の彼の事だけど、講習以外であった時と全然違うのね。どうしてかしら?」
「あぁ、普段のシンさんにお会いした事あるんですね。彼、仕事になると普通になるんですよね。まあ、依頼主にもあのような感じでは困りますし、彼もAランクですからね。貴族相手の依頼だと、その辺の態度も契約内容に含まれます。下手に契約を破ると創造神さまの眷属に罰せられますので、仕事時は普通にならざるを得ないのでしょう」

 創造神……、それに契約を破った物を断罪する神の眷属、ですか。
 やはり管理者さんは……。

「ああ、忘れるところでした。ギルドカードをお願いします。」

 その言葉で思考の海から脱した私は、リオナさんにギルドカードをわたします。

「はい、大丈夫です。」

 そう言って返されたのは、渡した時の黒ではなく、青くなったギルドカードでした。

「Dランク、ですか?」
「ええ、シンさんから報告を受けてのランクアップです。
Dまでは戦闘力だけでなれますので」

 なるほど、まあランクが上がるのは悪いことではないですね。
 一先ず今日は帰りましょうか。