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 ギルドからでたらすぐに星の波止場亭へ向かいます。
 ――ああ、あれですね。歩いて五分といった所ですか。店の前で女の子が掃き掃除してますね。

「こんにちは。宿の子? ここに泊まりたいのだけれど」
「お客さん? こっち! 付いてきて!」

 元気ですね。笑顔と揺れるツインテールが可愛らしいです。
 髪が長くても問題ないのはお風呂があるからでしょうか。綺麗な格好もしていましたし、期待できそうですね。ひとまず追いかけましょうか。

 中はやはり掃除が行き届いているようです。
 宿の中を観察していると、先ほどの子がまだ妙齢と言って差支えないくらいの女性を連れて戻ってきました。女将さんでしょう。

「泊まりに来たのかい? 一泊銀貨一枚、朝食はついてるよ。夕食もつけるならプラスで銅貨五枚、お湯は銅貨一枚だね。お風呂入りたいなら銅貨八枚だよ」

 なんというか、肝っ玉かあさんといった感じですね。というか、お風呂夕食より高い……。
 とはいえ、外食さえしなければ一日の食費は銅貨三枚に納まるそうなので、ここは高級宿ということですね。

「とりあえず二泊お願いします。夕食あり、お風呂もお願いします」

 そう言って銀貨五枚渡します。

「おや、計算はやいね。身なりもいいし、良いとこの出かい? まあいいや、はいおつりと部屋の鍵。二回の一番奥の部屋だよ。お風呂は入れるようになったら呼ぶからね」

 言われてみればこの服というかドレス、質がいいですね。かなり楽ですし、普段着にしましょうか。

 それはともかく、無事宿も確保できましたし、夕食までのんびりしましょうかね。……いえ、すっからかんですし、魔法の訓練しましょうか。早急に稼げる手段を増やさなければいけません。
 市場調査は…また時間があるときでしょう。

 後日立ち寄った市場で見た限り、日本とは物価がかなり違いました。おそらく、だいたい銅貨一枚(100L)=100円でしょう。とすると街へ入る手数料銀貨一枚は1000円。大きくは間違っていないように思われますし。