ある日の仕事帰り。論文を無事書き終えた光香は、クタクタで帰宅した。

「ただいま〜……(今日は疲れた……)」
「れいちゃんおかえりぃ! 待ってたよ! 早くビールで乾杯しよーよっ!」

 モモの無邪気な笑顔に、光香はふっと笑った。

「うん。ごめんね、今すぐご飯作るから」
「じゃがいもパラダイスでお願い!」
「言うと思ってました」

 とりあえずビールで乾杯。

「やっぱりプレモルうんまーいっ♡」
「そうだねぇ」
「からの〜……」

 今晩の献立は、じゃがいもコロッケ、じゃがいものチーズ焼き、ガリポテ、じゃがいものきんぴら。

 モモの目が輝き出す。

「じゃがいもパラダイスだぁーっ♡」
「どーぞ、召し上がれ」

 もぐもぐもぐもぐ……。

「うんまーいっ♡ れいちゃん天才!!」
「大袈裟だなぁ、もう」
「そんなことないよ! れいちゃんのじゃがいも料理は世界一だよ!!」
「れいちゃんももっと食べなよっ!」

 もぐもぐもぐもぐ。

「……ふふっ」
「なに笑ってんのさ、れいちゃん」
「んーん。モモは魔法使いみたいだなって思って」
「えーなにそれ。……ハッ。いや、実はそうなのかもしれない。じぶんが気付いてないだけで私って実は……」←真顔。
「こーら。またすぐ調子に乗るんだから」
「えへへ」

※光香の原動力は、モモの無邪気な笑顔なのです。