モモとの出会いを話し終えると、鷲見は感心したように言った。
「へぇ〜モモ先生って、昔からアホだったんすね!」
「お黙りスミィ。れいちゃんは今とてもいい話をしてたのよ」
「あれっ。でも、モモ先生って高校は出てましたよね?」
「うん。あのあとママにめちゃくちゃ怒られて私立に行った」
「ママの言うことは聞くんスね……」
「そりゃあそうだよ! ママはおっかないもん!」
「…………」
※光香とスミィ、賢一に同情。
「で、高校出て光香さんの家に転がり込んだと?」
「うい!」
「光香さん、なんであんなの入れちゃったんですか」
「だれがあんなのじゃい!」
※光香、失笑。
「……まぁでも、これがモモの良さだから。モモにはずっとこのままでいてほしいんです」
光香が言うと、モモはふふん、と得意げに鷲見を見た。
「このままでいいって……それじゃモモ先生の生活能力ゼロのままですよ」
「いいの。そのあたりは私が手助けしていくから」
「光香さん優し過ぎですよ……」
関心を通り越して、やや呆れ気味に鷲見が呟く。
『いっしょに住んでいいことないと思うんですけど』
たしかに、他人から見たらじぶんたちの関係は少し歪に見えるのかもしれない。
だが、少なくとも光香にとっては、そんなことはないのだ。
光香がモモといる理由は、モモのことが〝大好き〟だから。本当に、ただそれだけ。
あの研究室でモモは、好きだからとかそんな理由で進路を決めていいのかと悩む光香に、言ったのだ。
――〝そんな理由〟じゃないよ。〝いちばんの理由〟じゃん!
彼女らしい、無邪気な笑顔で。
あのときからモモは、光香にとって唯一無二の光なのである。