『近頃自立できない若者が増えていると話題になっています。また、本人には自立していないという自覚もなく……』
何気なくかかっていたテレビを見て、光香は青ざめた。
(これはまずいかもしれない)
「モモ、今日から家事の分担をしようと思う」
「えっ、なんで!?」
「私も働いてて遅くなるときもあるし、今の生活は正直アンフェアでしょ? (ここはモモの自立心を養うためにも、心を鬼にしなきゃ!)」
「やだよ、めんどくさい」
「めんどくさくないよ。はい、まずはお昼の準備ね。じゃがいもの皮むきから……」
「うーい」
そして。
「ぎゃあ! 指切ったぁ!」
「モモ!?」
流血。
「ごめん、モモには野菜を洗ってもらうことにしようかな」
「なんかトゲみたいなの刺さったぁー!!」
「モモッ!」
流血。
「モモ! なんで牡蠣揚げてるの!?」
※しかも殻ごと。
「え、料理とか知らんし、揚げればなんでも美味しくなるかなって」
「…………」
※光香が用意した牡蠣は生食用でした。
***
結果。
「モモは大人しくしてて。ご飯は私が作るからね」
「お願いしまぁす」
※モモは基本、なにごとも戦力外。