「相良先輩は?」
聞き返してすぐ、後悔した。
聞かなければよかった。いたらへこむし、いなかったらどうだって言うんだ。
「いねー。女の子は、めんどい」
心底うんざりしたような顔で遠い目をする彼。
芸能人級のイケメンなだけに、中学ではモテまくっていただろう。
大会でも、よくいろんな学校の女子に囲まれていた。
モテまくってしまったがゆえに、苦労があったのかもしれないな。
「そういえば、あの女の子はどうだ。ツナサンド譲ってやったやつ」
「ツナサンド?」
ひょっとして、南川さんのことか。
ツナサンドを譲ったところ、見られてたのか。
「ああいうことが自然にできるやつって、意外にモテるんだよな」
「そうですか? 全然どうともなってないですけど」
クラスメートだから普通に話すけど、それ以上でも以下でもない。
南川さんは、ツナサンドを譲ってもらったくらいでダサ男のことを好きになったりしないだろう。
相良先輩のような超イケメンにピンチを救ってもらったら、ひとめぼれしちゃうだろうけど。