小さなテーブルをはさんで向かい合って座った俺たちは、今日の成果を文にしていく。
・ナップサックやめる
・迷ったらモノトーン
など、確認しながら書いていく俺を、相良先輩は頬杖をついて見ていた。
「お前、真面目だなあ」
「いや、頭がよくないんで、書いておかないと」
たくさん詰め込んでも、三歩歩いたら忘れそうになってしまう。
一回聞いただけで覚えられるような天才タイプではないのだ。
しかもオシャレやら美容やらは、今までまったく縁のなかったジャンルだし。書き留めなければ、難しい単語などすぐに忘れてしまう。
「ふーん」
服選びの際の注意事項を書き終えた俺に、相良先輩は洗顔の心得を説いた。
そこまで終わり、やっと息をついてオレンジジュースを飲む。今日は疲れたので背伸びしてカフェインをとるのはやめた。
先輩は相変わらずコーヒー。一緒に注文したドーナツを大口で平らげる。
ああ……さっきの頬杖もだけど、こういうところもかわいい。
頬が緩むのに気づかれぬよう、自分もドーナツを頬張る。先輩はチョコ味が好きなのか。覚えておこう。